シク教の寺院グルドゥアラ・バングラ・サヒブの無償ごはん@コンノート・プレイス


ナマステ!9月だというのにまだまだ暑いデリーです。

こう暑いとデリーでたくさん見かける路上生活者は水や食事をどうしているのだろう、と心配になるのですが、夕方になると政府がスラム街に水を配給にきたりなど、インドには様々な救済システムがあるようです。

その一つともいえるのが、シク教の寺院で施される無償のごはんではないでしょうか。

シク教というのは、インドでよく見かけるターバンを巻いている人たちの宗教で、デリー市内にもグルドゥアラと呼ばれるシク教のお寺がいくつかあります。

Delhi Sikh Gurdwara Management Committee

その中の一つ、コンノート・プレイスにあるグルドゥアラ・バングラ・サヒブに、インド人の友人と共にお邪魔してきました!

コンノートプレイス シク教 寺院 

 

バングラサヒブの内部

入り口は想像していたよりずっと立派。白とゴールドでとてもゴージャスな外装です。

中に入るともっとびっくり。まるでひとつの村のような広々とした空間が広がっていて、中には宗教関係の書籍販売所や、シク教に関する博物館まであります。

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寺院の中に入る前に、靴を脱いで足と手を洗い、髪の毛をバンダナやスカーフで覆う必要があります。靴はきちんと預ける場所があり、靴を預けると預けた番号の控え札を受け取れます。

シク教 寺院 内部

寺院に入る際は、頭をさげ、床に手をつき、その手で自分の額に手をあてることで、敬意を表してから入ります。寺院内は写真は禁止なのでここではお見せできないのですが、中に入ってお祈りするときには床に頭を付けてお祈りします。中にはたくさんの人達が床に座って祈祷を聞いていました。

中庭のような場所に降りると、聖なる水とされる大きな池があり、何人かのおじさまたちが沐浴をしていて、私たちも手と足だけ少し洗ってみました。

シク教ではお祈りとお水や軽食、または食事がセットになっていて、多くの人が食堂にご飯を食べに行きます。お祈りも食事も、あらゆる人達に開かれていて、他宗教の人でも、路上生活者でも、誰でも受け入れてくれる様子は実に寛容でした。

とっても美味しい無償の食事

いよいよ食堂にいってご飯を食べてみようと行くと、食堂の中ではご飯を食べている人たちが見えるのに、一旦外で待機するように言われました。食堂の外の待機所のような場所にはたくさんの人達がお行儀よく順番を待っていたので、私達もすし詰めの待機所で待つことに。

少し待っていると食堂の中で食事をしていた人たちが出ていき、私達も中に入ることが許されました。どうやら何クールかに分けてたくさんの人に食事を提供しているよう。意外にも食堂内はエアコンが効いていて快適。

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食堂内に入ると、床の上に布がひかれていて、そこに背中合わせに座っていって食事が配られるのを待ちます。まずは4〜5歳の子供がお皿とスプーンが配ってくれ、ついでチャパティ、ごはん、ダル、サブジ、と支給されました。

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これがとってもおいしい!レストランで食べる味の濃いインド料理とは違い、家庭的で優しい味わいで、小さい子もパクパク食べていました。配給の人たちが歩いて回っているので、随時おかわりもいただけます。

ちなみにこの食事のはすべてボランティアで成り立っていて、チャパティを作るのも、配給も、全てボランティアで行われているというからすごい。お皿を配ってくれた子供もボランティアで、もちろん食材の調達もすべて寄付で成り立っているそう。すごいことですね。

 

食事の配給ボランティアをやってみた

食事を終えて食堂から出て食器を片付け、手を洗ったところで、せっかくなので配給ボランティアをやってみることにしてもう一度中に入ることにしました。人の流れを整備しているおじさんに、「配給したいの」と伝えて中に入り、厨房のそばで待機していると、他のボランティアの人達がやり方を教えてくれます。

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私はカレーをこぼさずに上手に盛り付けて歩く自信がなかったので、チャパティを配らせてもらいました。チャパティは手でつまんで、汚れないよう手の中に上からそっと置きます。普通は1枚ですが、2枚欲しい人は手で2、と示してくれるので2枚とって手の中に入れます。

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ちなみに一緒に行った友人はカレーの配給をしていましたが、カレーの入ったバケツは床においてはいけない、などいろいろと決まり事があったそうです。

仕事を終えて帰ろうとすると、シク教のおじさまが話しかけてくれて、いろいろと教えてくれました。おじさんいわく、シク教はあらゆる人に平等で寛容な宗教で、それゆえに世界中からたくさんの寄付が集まって、このような仕組みが成り立っているそう。毎日匿名で100キロの米が届くし、それ以外にも沢山の人がお金の寄付してくれているようです。そしてこの寺院だけでも一日1万人以上の人に無償で食事を提供しているというから驚きですね!

「この中に入れば、男性も女性も、肩書がある人も、全て平等なんだ」

とおじさんは誇らしげに教えてくれました。

「ヒンドゥー教徒もムスリムも仏教徒も誰でもウェルカムだし、モディ首相も大統領も、ここでは皆肩を並べて同じように食事を食べるんだ。もしそこで、「俺は首相なんだから…」というような態度をとったら、出ていってもらうだけさ」

ゆったりと笑うおじさんは満ち足りていて、誇らしく、なんだか美しくさえ見えました。

教えてくれてありがとう、とお礼を言うと、

「ちがうよ、感謝するのはこっちなんだ、君がまたインドに来てくれたら僕はとっても感謝するよ」

と言ってくれたのが印象的でした。

 

シク教徒とは

シク教は、パンジャーブ州のアムリットサルにある、ハリマンディル・サヒブ(通称ゴールデンテンプル)を総本山とする宗教で、16世紀にグル・ナーナクという開祖がおこしたのが始まりなんだそうです。

シク教では髪の毛を含む体毛を一切切ったり剃ったりしてはいけないとされるため、男性はターバンをまいて一度も切ったことのない長い髪の毛をその中にしまっており、女性もスカーフなどで頭を覆っています。インドの中では少数派の宗教にもかかわらず、ターバンにひげと短刀という日本でのインドのイメージを作り上げているのは、何を隠そうこのシク教なんですね。

また、私がグルドゥアラで出会ったターバンのおじさんが言っていたように、大変寛容で合理的な教えが特徴のようです。

参考サイト:https://www.religio.jp/sikhism-whatis/

 

シク教の寺院、グルドゥアラ訪問時の注意点

日本では感じることのない宗教の存在感とその多様性こそ、インドに住む醍醐味の一つかもしれません。そして、この格差社会インドにおいて実に寛容でやさしい宗教、シク教。

もっと知ってみたいと思った方は、ぜひグルドゥアラを訪れて見てはいかがでしょうか?

どんな人でもどんな宗教の人でも入れますが、訪れる際はいくつか注意点が必要です。

1.入る際は必ず靴(靴下も!)を脱いで足を清めてから入るため、すぐに脱げる靴がオススメです

2.ターバンを巻いていない人も必ず髪の毛を布で覆う必要があるため、バンダナやスカーフなどを持参するのがオススメ。寺院の入口にも貸出用のバンダナがたくさん用意はされていますので、忘れた人も必ずそれを借りて頭を覆いましょう

3.お寺に入る際は床と自分の額を順に触れて敬意を表してから入りましょう

4.お寺の本堂は写真撮影は禁止です

 

注意事項を守って参拝すれば、シク教の優しさに触れ、美味しいご飯をいただける素晴らしい時間が待っていますよ。

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デリーにあるグルドゥアラ一覧

今回私が訪れたのはバングラサヒブですが、デリーには他にもいくつかグルドゥアラがあります。どのグルドゥアラでも同じかどうかはわかりませんが、まずは気軽にお近くのグルドゥアラを訪れてみるのもよいかもしれませんね。

1.Gurdwara Bangla Sahib

Hanuman Road Area, Connaught Place, New Delhi, Delhi 110001

2.Gurdwara Rakab Ganj Sahib

Guru Gobind Singh Bhawan, Pandit Pant Marg, South Block, Rakab Ganj, New Delhi, Delhi 110001

3.Gurdwara Nanak Piao Sahib 

Grand Trunk Karnal Road, NH 1, New, Sultan Puri, Kirpal Bagh, Rana Pratap Bagh, Gujranwala Town, New Delhi, Delhi 110033

4.Gurdwara Sis Ganj Sahib

Chandni Chowk Rd, Kucha Chelan, Maliwara Tiraha Bazar, Katra Lehswan, Chandni Chowk

New Delhi, Delhi 110006

5.Gurdwara Damdama Sahib

Bharat Scouts and Guides Marg, Nizamuddin, Nizamuddin East, New Delhi, Delhi 110013

6.Gurdwara Moti Bagh Sahib

Ring Rd, Nanak Pura, Moti Bagh, New Delhi, Delhi 110021


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